特別支援・福祉カタログ vol.4
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特選品食べる時の咀嚼回数をチェックし、噛むことへの意識を高めてくれる「かみかみセンサー」。安富先生が、咀嚼力に問題を持つ子どもたちの改善のために発案し、日陶科学と共同で開発した製品です。その誕生エピソードを、安富先生に伺いました。よく噛むことの大切さや、子どもたちへの伝え方などについて安富先生に伺いました。教育現場での啓発などにお役立てください。考案した理由と完成までの試行錯誤。 「子どもたちが楽しみながら咀嚼回数を数えられるものにしたい」。これが、かみかみセンサーの開発コンセプトでした。知り合いの工業高校教諭の協力を得て試行錯誤を重ね、試作品第一号が完成したのは、平成18年。その後、さらなる改良と普及をめざし、日陶科学と共同で開発することに。1年3ヶ月の開発期間と30回におよぶ試作・打ち合わせを経て、ついに商品化が実現しました。日陶科学の担当者の方は、名古屋から長野まで毎週のように通っていただいた時もあり、とても熱心に取り組んでくださいました。 現在「かみかみセンサー」は、「かみかみ授業」はもちろん、学生の教育実習や、噛むことの大切さを教える保健指導でも使われるなど、啓発活動に大きく貢献しています。 最新モデルの「かみかみセンサー」は、耳かけをより長くし、素材もさらに柔らかいものに変更しています。耳をしっかり巻き込んでホールドできるよう、デザインも改善しました。装着した時の安定感が増し、噛む回数の計測も、さらに正しく計測できるようになったと思います。  「よく噛むこと」は、なぜカラダに良いのですか? 咀嚼には、健康づくりに役立つ多くの役割があります。例えば、よく噛むと脳の血流が良くなり、記憶力を向上させ、認知症のリスクを下げます。また、虫歯や歯周病のリスクを下げる働きのある唾液の量が増えるなど、よく噛むことは健康にいいことがたくさんあるんです。食育の現場では、このような咀嚼の効果について、「ひみこ(卑弥呼)のは(歯)がいーぜ」(出典:学校食事研究会)という標語を使ってわかりやすく説明しています。ぜひ覚えてくださいね。新商品「カミンこうや」を考案。 平成28年には、高野豆腐で有名な旭松食品株式会社と共同で「カミンこうや」を考案しました。高野豆腐は鉄分やカルシウムが豊富で噛みごたえがあり、子どもたちの健康づくりに役立つ食品として注目されています。「カミンこうや」は、噛みごたえを強化するため、通常の高野豆腐の1.8倍の固さに仕上げました。子どもたちが楽しみながら咀嚼できるよう、可愛らしいカミンの焼き印が押されています。 当初は主に学校給食向けの業務用として販売していましたが、「美味しいので家庭でも食べたい」「カミンちゃんの焼き印が可愛い」など、子どもたちの間で評判になり、平成29年には小分けにした家庭用の「カミンこうや」を市販化しました。パッケージデザインには、飯田女子短期大学教員と「かみかみゼミ」の学生のアイデアも活かされています。 今後は、大きな目標ですが、かみかみ運動を国民運動にまで発展させられたらと思っています。そして、子どもから大人まで、よく噛んでゆっくり食べることにより食事を大切にしながら健康づくりができる。そんな啓発活動をこれからも続けてきたいと思います。  カミンの歌とダンスは、どこで見られますか? 紙芝居の後、子どもたちは、歌にあわせてみんなで一緒にダンスを踊ります。この歌とダンスは、「かみかみゼミ」の学生たちが、プロと協力しながら考案したオリジナル。「みんなで楽しく カミカ~ミン~♪」というように、覚えやすい歌詞と振り付けが特長です。活動に賛同していただいている企業の社員や歯科医、学生、大学関係者の方々が一緒にダンスを踊る映像が、ネット動画で配信されていますので、ぜひ一度ご覧ください。(「かみかみダンス」で検索)  「噛むことの大切さ」をどのようにPRしていますか? 保育園や小学校・中学校を訪れ、紙芝居を読み聞かせたり、一緒にダンスをしたり、楽しく遊びながら噛むことの大切さを子どもたちに伝えています。紙芝居は2種類あり、「カミンのかみかみ教室」では噛むことの役割と大切さを、「カミンの姿勢教室」では噛むときの正しい姿勢について紹介。子どもたちは興味津々の表情で、時には大きく返事をしたり、質問をしたり、積極的に参加しながら、正しい姿勢でよく噛んで食べることの重要性を学んでいます。「ひ」・・・・・・肥満予防「み」・・・・・・味覚の発達「こ」・・・・・・言葉の発音はっきり「の」・・・・・・脳の発達「は」・・・・・・歯の病気予防「が」・・・・・・ガン予防「いー」・・・・・胃腸快調「ぜ」・・・・・・全力投球咀嚼の効果を文字で表現した標語Q1Q2Q3かみかみセンサー開発物語教えて!安富先生N07

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